自然と融合した「キャップ・フェレの家」

キャップ・フェレの家は、周囲の自然を尊重しつつ快適な生活が送れるように設計されました。
自然と融合した「キャップ・フェレの家」

最後の更新: 13 11月, 2020

フランスのアルカション湾にあるキャップ・フェレの家は、自然との特別な関係が保たれています。既存の松の木が家の中を通り抜けるできるように設計されており、自然を生かして建てられた建築です。

家は丘の上に建てられており、地面と家の床の間には自由に通り抜けできるのに十分な高さがあります。建築家のラカトンとヴァッサル(Lacaton & Vassal)は、高床式の家を建てることで景観の変化を最小限に抑えることに成功しました。

ラカトンとヴァッサルの設計では、使用していない空間を使うことでより広い空間を確保することを目指しています。彼らにとってこのプラスの空間こそが建築の限界を超えるための方法なのです。

キャップ・フェレの家では、外界の一部を家の中に取り入れることで、家の中と外の境界線がぼやけるようにしてあります。

プラスの空間は家の中の空間を広げることができ、従来の建築レイアウトの論理に疑問を抱かせます。ラカトンとヴァッサルは、住人と既存の環境との関係を重視しているのです。

「さまざまなプロジェクトに取り組んできましたが、私たちのアプローチは変わることはありません。重要なのはアートを生み出すことではなく、住人が幸せに暮らすことができる家を作ることなのです。私たちの作品の基礎となっているのはヒトです。ヒトがいなければ、建築も必要ありません。」とアン・ラカトンは言います。

ラカトンとヴァッサル

キャップ・フェレの家

アン・ラカトンとジャン・フィリップ・ヴァッサルはフランスのボルドーで建築について学んだ後、1987年にパリに建築事務所を開設しました。彼らの作品は、デザイン、機能性、コスト、そして環境との関係に基づいています。さらに、住人のニーズに答えられる空間作りができるように、二人は現代の生活とその関係についても学び理解を深めました。

また、キャップ・フェレの家のように革新的な技術が設計に取り入れられています。この家は革新的な素材と建築様式によって作られました。写真からも分かるように、半透明でオープンプランなデザインです。

ラカトンとヴァッサルのデザインは、ボルドーで学んだことやアフリカで過ごした時間が基となっており、主に利用可能なものを使うことに重点を置いています。

「シンプルに保つ」ことは、彼らにとっての最大の願いかもしれません。彼らのデザインでは、空間が最大限に生かされ、光、自由、そして上品さが尊重されています。彼らはコスト面、謙虚さ、そして環境の美しさを基に設計しているのです。

キャップ・フェレの家

キャップ・フェレの家

この小さな家は、フランスの西海岸にあるアルカション湾にあります。また、大西洋のビスケー湾にも面しています。

フランス人建築家であるアン・ラカトンとジャン・フィリップ・ヴァッサルは、既存の自然を保ちつつキャップ・フェレの家を設計することに成功しました。そして、家の中に自然をうまく取り入れたのです。

家は高い砂丘に建っており、そこには低木、ミモザ、そして46本の松の木がありました。2人は、この松の木や他の植物をそのまま保つために、地面を8~10メートル掘ったところに12本のマイクロパイルを埋め込みました。マイクロパイルを使うことで、地面を荒らすことを防いだのです。

松の木はそのまま残してあり、家の中でも成長を続けています。松の木には特別な台座が使われており、風による揺れから家を守ってくれるだけでなく、木が健康に成長し続けることを可能にしています。

1958年には、スヴェレ・フェーンがヴェネツィア・ビエンナーレのパビリオン設計に同じような方法でマイクロパイルを使用しました。とても貴重な環境に建物を建てる必要があったので、このデザインがとても重要だったのです。

キャップ・フェレの家の部屋

キャップ・フェレの家

家は2つのエリアに分かれています。バルコニー、リビング、キッチンがある昼のエリアと寝室と浴室がある夜のエリアです。家の中には、丘の上にある路面階段で上がることができます。

階段から小さなバルコニーに入り、そこからはキッチンのあるリビングに繋がっています。リビングは4つの部屋に分かれており、2つの部屋は家族用で、もう2つの部屋はゲスト用です。2つの部屋で1つの浴室を共有するようになっています。

すなわち、この家は自然を尊重し、既存の条件を理解し、問題を解決策へと変えた素晴らしい建築の例なのです。

豪華さを目的としない、シンプルで自然を尊重したこの家は、間違いなくじっくり分析する価値があると言えるでしょう。