映画『アメリ』の世界の巧みな色使いについて

映画『アメリ』は現代映画の中で最も興味深い作品の一つでしょう。素晴らしい語りだけでなく、『アメリ』には独特の美学と巧みな色使いを見ることができるのです。
映画『アメリ』の世界の巧みな色使いについて

最後の更新: 08 4月, 2021

監督であり脚本家のジャン=ピエール・ジュネは、2001年に自身のヒット映画『アメリ』で世界に衝撃をもたらしました。この作品を際立たせていることの一つが、若い主人公の物語を語るために用いられた色の使い方です。もともとイギリスの女優エミリー・ワトソンを起用したロマンティック映画を書いていたのですが、フランス語を話すのが難しいということで断られてしまったのでした。

この映画の主人公となる人物探しは難航しましたが、ジャン=ピエール・ジュネはアメリの役をオドレイ・トトゥに与えることにしました。この若いフランス人女優は、映画のタイトルともなっているキャラクターを巧みに解釈し、素晴らしいスターとなったのです。

あらすじ

物語はアメリ・プーランの人生を中心に、ナレーターの声と共に進んでいきます。アメリは数奇な運命をたどる普通とはちょっと違う女性で、物語が進むにつれて徐々にわかっていくさまざまな状況が特徴的です。

冷たく思いやりのない医師である彼女の父親は、自分の娘が心臓の病気を患っていると思っています。しかし、彼が心臓の問題だと思っているものは、実は父親に触れられる度にアメリの心拍数が上がっているだけなのでした。

彼女の「病気」のため、父親はアメリを自宅で教育することにします。先生はアメリの母親。プロの教師であり深刻な心気症を患っている彼女は、不幸なことに、ノートルダム寺院の天辺から飛び降りた女性の下敷きになるという無残な最期を迎えてしまいます。

この出来事により父親はさらに遠い存在になり、庭に埋めた亡くなった妻を思って寺院の世話をすることのみに没頭するようになってしまいます。世界から隔離され社会的な関りを奪われたアメリは、鮮やかな妄想を膨らませるようになります。このことが、彼女が人生の些細な事や喜びに関心を持つようになるきっかけとなりました。

18歳になり、アメリは実家を出ることを決意します。彼女の世界は小さくて古いアパートへと移り、そこで不思議な人々と出会います。コンシェルジュのマドレーヌ、食料品店を経営しているコリニョン、そのアシスタントのリュシアン、そして地下鉄やカフェ、通りをうろつく盲目の物乞いなどです。

ですが彼女のお気に入りの隣人はレイモン・デュファイエルで、彼はルノアールの「舟遊びをする人々の昼食」を模写する画家です。デュファイエルは珍しい病気を患っており、それが彼の「グラスマン」というニックネームの由来になっています。

アメリは「カフェ・デ・ドゥ・ムーラン」というカフェで働き、オーナーのスザンヌ、悲観的なタバコ売り場担当のジョルジェット、そして同僚のウェイトレスであるジーナに出会います。このカフェに来るお客さんでさえ普通ではありません。

良い行いをする人、アメリ

アメリは気づかれないようにその人の人生のさまざまな側面を修復することで、人助けをしようとします。ですが、実はそれだけでは足りないのです。その裏にはアメリ自身が人生の目的を持っていないということがあるというのが、映画の中でわかります。

映画全編を通して、多くの芸術家や芸術的ムーブメントが引き合いに出されています。ジュネ監督がセットの中に直接的にこういったものを組み込んでいることもありますし(アメリの部屋の壁にかかっている芸術作品やルノアールの絵など)、特定の作品やスタイルを思い起こさせるようなヒントが隠れているだけのこともあります。

『アメリ』の色使い

全体を通して、『アメリ』は美学的にもプロット的にも非常に表現力豊かな映画です。ですが、最も目立つ特徴の一つがジュネ監督によって選ばれたカラーパレットなのです。

ジュネ監督自身が、ブラジル人画家フアレス・マチャド氏の作品から多くのインスピレーションを得ていると説明しています。最もよく見られる色は赤、緑、そして青です。これらの色は登場人物が特定の感情を感じているときにそれを表すのに使われています。いくつかのインタビューの中で、ジュネ監督はすべてのシーンを絵画のように、記憶に残るスナップ写真を作るようにしたかったと言っています。

映画の中で出てくるさまざまな色のおかげで、私たちは登場人物が感じている感情が何かを理解することができます。例えば、赤はアメリが暖かく愛情に満ちた気分であるサインなのです。

アメリのアパートは赤っぽい色で装飾されており、赤は彼女の服にもよく取り入れられています。また、アメリが気になっているニノと初めて会った公衆電話にも赤が少し使われていますし、アメリの父親の庭にあるノームの帽子も赤です。

緑は赤とコントラストを作り、映画を通してさまざまなシーンで使われています。アメリ自身も赤と緑の混ざった服を着ています。ニノと出会う公衆電話の赤とパリの地下鉄の緑の背景がコントラストをなしています。

青はアメリの悲しみや孤独といった面を象徴しています。アメリはいつもシャイで内気な人物ですが、両親が与えてくれなかった愛情を求めています。アメリの持ち物には毒キノコの形をした小さな青いランプがあります。中には、アメリとニノがコミュニケーションをとるのに青いポスターを使うシーンも出てきます。

『アメリ』の世界の色使い-光と写真

素晴らしい映画撮影を行ったブリュノ・デルボネルについてもお話ししておくべきでしょう。彼はワイドでスローなアングルを使うことで、アメリの深い孤独や孤立といった感情を描き出そうとしています。カメラの動き方も普通とは違います。登場人物を追いかけるという動きが映画の中では多用されており、最後はその人物の顔のアップで終わるという手法がよく使われています。

照明は柔らかく、日中のシーンでさえ少し黄色みがかっています。これにより映画全体が夕暮れ時に撮影されたかのような印象を作っているのです。

特殊効果はほんの少ししかなく、キャラクターのイマジネーションや思考、感情を描くためだけに使われています。

まとめると、ジャン=ピエール・ジュネ監督は、アメリ・プーランの色という色使いを通して、最もロマンティックで素晴らしいパリの一面を世界に見せようとしたのです。

ジュネ監督の光や色といった要素の使い方は本当に驚くべきもので、アメリの世界を作っている複雑でさまざまな感情を描き出しているのです。

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