【建築家と社会問題】アレハンドロ・アラヴェナとその住宅哲学

16 8月, 2020
アレハンドロ・アラヴェナは、建築を不平等と闘うツールとして使いました。彼が手掛けたソーシャルハウジングは、このタイプの住宅に大きな変革をもたらしたのです。

有名なチリの建築家、アレハンドロ・アラヴェナの手がけたソーシャルハウジング(低所得者向け住宅)は、革新的な見た目をした素晴らしい作品です。アラヴェナのこういった住宅のプロジェクトは、進化し続ける住宅計画というコンセプトを持っているという点で、他とは一線を画しています。

おそらく彼の最も重要なプロジェクトの一つは、「インクリメンタル・ハウジング・プロジェクト」でしょう。これは、「半分」住宅と彼が定義するソーシャルハウジングの形態です。ELEMENTAL社の役員として、アラヴェナは社会的な危機及び気候に関する危機など、あらゆる困難を乗り越えてきました。

このチリ人建築家は、ソーシャルハウジングはただの建物以上に意味のあるものだという考えのもと、自身のプロジェクトをデザインしています。それ以上の意味を、作品の中に持たせています。彼は、生活するということの別の重要な問題を解決することも大切にしたかったのです。

2016年、彼はプリツカー賞を受賞し、その名を世界にとどろかせました。この賞受賞により、常に社会の低所得者層に目を向けている彼のソーシャルハウジングプロジェクトをさらに拡大させることができました。

アレハンドロ・アラヴェナとソーシャルハウジングの質

アレハンドロ・アラヴェナ

アラヴェナは「プログレッシブ・ハウジング」と彼が呼んでいるコンセプトを使っています。最初とても限られた予算で住宅を作らなければならなかったときに、彼はこの哲学にたどり着きました。彼のデザイン計画には、家の半分しか入っていないのです。

このアイディアの背骨となっているのは、アパートがいくつかくっついたようなものや、小さな家といったような古いタイプのソーシャルハウジングにならないようにすることです。そうではなく、彼のアイディアはスペースがある本当にいい家を、同じコストで半分だけ建てるというものだったのです。

アラヴェナの指揮するELEMENTAL社は、約40㎡の中に、基本的な衛生空間と寝室2部屋を備えた基本的な家をデザインしました。そしてそこに入った家族は、そのスペースを基礎として使いながら「段階的に」家の残りの部分を追加していくことができるのです。

アレハンドロ・アラヴェナは、最低所得層にいる人々をターゲットとした家を作りたいという思いでソーシャルハウジングのプロジェクトをデザインしています。これは単に質の高い家を提供するということだけでなく、手の届くローンを組む手助けをすることでもありました。

「定義上、建築とは集合的な実践のことだ。朝起きてさあ今日は何を作ろう、と決めることのできる彫刻家とは違って、私は朝起きてさあ素晴らしいオフィスビルをデザインするか、とはならない。それを必要とする人が必要なのだ。」

―アレハンドロ・アラヴェナ-

Quinta Monroy

アレハンドロ・アラヴェナ

「Quinta Monroy」と呼ばれるプロジェクトは、生活に必要な基礎的なものがそろった家を100家族分作るというニーズに応えました。少なくとも30年間、チリのイキケの中心で、約4050㎡が不法に占拠されていたのです。

アラヴェナの会社にあったたった一つの制約は、予算でした。人家族につき7500ドル(約75万円)といったような本当に少ないものだったのです。それで地価、造成、建築まですべてを賄わなければなりませんでした。

その問題への答えは、約36㎡の家を建てるというものでした。それは、本来のサイズの半分ということを意味しています。そこに住む人が約70㎡の家の残りの部分を自分で完成させていくというアイディアだったのです。

コンセプトは垂直スタイルの家で、一階は水平方向にのびますが、二回は垂直にのびます。これらの基礎を提供することで、家に自由に追加していけるという目標への手助けをしたのです。

建物ができたら、その半分の家が提供されますが、そこには浴室やキッチンなど必要なものがすべてそろった状態です。その後家に追加する際に備え、もともとの構造に簡単に追加できるようになっています。

また、このプロジェクトには共用部分も含まれています。これはこの建物に住む住民だけで共有されるものです。ここでの目的は、遊び場やご近所で集まるためのスペースなどを使ってコミュニティを形成するのに役立たせることでした。

メキシコ、モンテレイでのソーシャルハウジングプロジェクト

モンテレイ ソーシャルハウジング

メキシコ、ヌエボ・レボン州の政府が、中流階級の住宅地に70戸の家のデザインをELEMENTAL社に依頼しました。イキケと似たような制約と選択肢があることがわかったので、Quinta Monroyで行ったのと同じ方法を使うことにしました。

しかし先ほどと同じ方法をとる上で今回の方が予算が多く、一戸あたりだいたい2万ドル(約200万円)くらいありました。ここでは、家の半分を建てるための州の建築を引き継ぎ、最も難しい半分を作りました。

その半分には全ての生活に必要な基礎的なものと、2つの階をつなぐ垂直なコネクションが含まれました。アラヴェナのチームの基本的な考え方の一つは、セルフ・コンストラクションという考え方です。目標は、人々が将来自分の家に手を加えていけるということなのです。

最終結果は3階建ての家になり、チリの言えと同じスタイルとなりました。一階はそれだけで一つの家になっており、二階と三階は複式のアパートになっています。

Quinta Monroyと同じように、人々には最初だいたい40㎡くらいの家の半分が提供されました。一階の家は約58㎡まで広げることができ、アパートは約76㎡まで広げることができます。

また家の中にコミュニティスペースも入っています。これにより家とグリーンスペースの間の距離を縮めることができます。このレイアウトだと、コミュニティスペースを管理し集まる場を作るのがずっとやりやすくなるのです。

まとめ

アラヴェナは深くコミットメントをして仕事に取り組む建築家です。彼は、建築を社会問題の解決策を見つける方法として見ていて、すべての人に質の高い家を提供する手段だと考えているのです。

社会的な義務感から、彼が人々が自由に使えるソーシャルハウジングの素晴らしいデザインを作り出していることがわかるでしょう。彼は現代建築における本当に素晴らしい人物だと言えます。